1992年~
VW Golf CLi (3代目)


謙介の固定所有車としては、最後の愛車となった3代目VW golf。
この車のハンドルを握る頃には、年齢が80代に入っていた謙介、運転の方も、往年の「巧みなハンドルさばき」とはなかなかいかない頃である。そんな超ベテランドライバーにして、数ある車遍歴の最後を飾るには、この「世界のスタンダード」は相応な感じがするわけだ。
1974年発表から長年培った欧州コンパクト車市場における、お手本中のお手本であり、操作性、居住性、安全性、扱い易さ、安心感、そのスタイリング、と、どれをとってもこのセグメントのワールド・スタンダードなVW GOLF。特化したものはそれほどなく、面白みこそ少ないが、他のライバル車を寄せ付けない完成度は,今もなお進化し続けるベーシックモデルであるだろう。乗っていたのは、淡いブルーメタリックのグレードの低いモデルのCLi 5Dr.ハッチバックモデル。車の流行や生活スタイルもその時代がそうだったように、彼の後期の愛車のそのほとんどがハッチバックタイプであった。コンパクトでありながらその利便性や居住性が、そのタイプを好んだ証なのだろう。晩年、週末になるとこの車に 妻:昌子と夫婦2人で同乗し、真鶴までのドライブを楽しんでいた。
同乗者2人合わせて160歳以上、周りからすれば不安は大きかったものの、なんとも良い光景が思い浮かぶ。
謙介の休日ドライブはいつも、履き慣れたデニムを身にまとい、自由で自然体なカーライフを一生涯楽しんだとでも言うのだろう。