オールカタログ出版記念会

1983年暮、講談社主催による「石津謙介オールカタログ」の出版記念会が開催された。
この本は当時講談社に在籍されていた花房孝典氏の企画によるもので、VAN倒産後の石津謙介に自叙伝を書かせたもの。石津謙介の生誕から、VANの誕生から倒産に至る経過、その後の様子、そして当時もいまも語られる石津語録の数々が222頁にわたって詳細に述べられている。この石津大百科でも、かなりの部分を参考にさせてもらっているネタ本である。
謙介に密着して取材、聞き取りからまとめを担当してくれたのは笹川典子さん。「いつも明日のことしか考えない」「過去を振り返るのは嫌い」という謙介の、初の自叙伝ともいうべき「石津謙介オールカタログ」は、この二人の努力によって完成したといえる。
出版記念会は石津謙介の幅広い交友を表すように、多士済々が駆けつけてくれ、その完成を祝ってくれた。1978年4月のVAN倒産後約5年間、公式活動の多くを控えていた謙介の昔と変わらない洒脱で上機嫌な姿に、多くの出席者は新たなその後の活躍を予感してくれたに違いない。この本の発刊を切っ掛けに、謙介はファッション評論家として、また多くの著作の執筆やマスコミに登場していくことになる。