「お茶漬けにしても、おかゆにしても、入れるものはまったく同しでかまわない。
ベーコンのお茶漬けなんていうのも、なかなかマッチするよ。
さすがに日本ものと中国ものとは、ルーツが同じなんだなあ、やっはリ」
分量や詳しい作り方をうかがおうとすると、「そんなものはどうでもいい。
作る人が勝手に考えればいいんだから。
大事なのは、いろんなことを自分で工夫して、独自のものを創作することなんだ。そうだろう」

うまけりゃ、聞く

何かとお忙しい石津さん。ご自宅の東京・四谷から、浅草ヘタクシーをとばします。
下町の旦那風の運転手さんと食べもの談義をしながら着いた所は、吾妻橋のレストラン「吾妻」。
なかなか雰囲気のあるすてきなところです。
「オムライスちょうだい」
カウンターにすわると、目の前が厨房になっています。
いためたごはんが器に盛られ、上にオムレツをのせてチョンチョンとたたくと、パラッと卵が開いてごはんをくるみます。ドミグラスソースをかけてできあがり!
 
「石津先生は本当に料理というものをよくごぞんじで、いつも勉強させていただいています」
とはシェフの弁。
「ちょっと教えてよ」と石津さんは厨房に飛びこんでしまいました。
石津さんの食に対する探求心は、まるでブラックホールのようでした。

 
月刊ベターホーム
1988年3月号 「僕の自慢料理」より